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Yoshitaka Iwamoto -Reference-

感性の覚醒のための

11月 2015

岡本太郎 「自分の中に毒を持て」

自分の中に毒を持て―あなたは“常識人間”を捨てられるか (青春文庫)

口では偉そうな事をいっている癖に実際にやっている事は間逆、自分にはめっぽう甘いという人は岡本太郎の言葉は耳が痛くなるはずだ。この人は自分が言った事にちゃんと行動で責任をとって生きた。作品を見れば生き方が伝わってくる。岡本太郎の本は好きだが作品は嫌いだという人は嘘をついている。作品と文章は表裏一体。
最近になって、岡本太郎がこういう文章を文字に書いたことに感動するようになった。書いて本になるとその文字は消える事がない。だから嘘をつくことは出来ない。そして、書いた事を自分も体現していかなければいけない。それが出来ないければ全てが無意味だ。だから、文字を書く事は決意の表明だ。そして、絵を描く事も覚悟の表明だ。それを生涯繰り返して生きる。
この本を読むと今まで自分が下してきた決断がなんとも安易で無責任なものだったと気がつく。自分はいつも安全な位置にいて、失敗しても別の道があるくせに大きな賭けをしたりつもりになっていたのだと恥ずかしい。
作品とは、決意した瞬間によくなるものではないか。本当にこの作家は覚悟を決めてやっているのか、そうやって見ると、なんだ、上手いだけで全然真剣じゃないじゃないかとつまらなくなってくる。そうやって自分の作品を眺めるとなんて生温いとくだらなくなってくる。だからまた新しい作品を作りたくなってくるのだ。もっともっとギラギラした作品を。

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確実に自分を変えていく法」マーシー・シャイモフ[著] 茂木健一郎[訳]

もっと「脳にいいこと」だけをやりなさい!確実に自分を変えていく法 (知的生きかた文庫)

最近発売されたアップルウォッチには面白い機能がついているそうで、恋人同士でつけるとお互いの鼓動をハートマークで表示するらしい。鼓動の大きさによってマークの表示にも段階があるそうだ。この本によると脈打つ心臓は、身体の外に向けて電磁波を発している。しかも、心臓の電磁波には感情的な情報が含まれており、他者はこれを感じ察することができ、しかも、周囲にいる人々の脈拍にも影響を与えることができる。なんとなくこの人は活力があるとか不健康だというのは雰囲気で解るもので、感覚的に私たちは様々な情報を受け取っているものだ。日本語では一言で気という。
私たちは、物事を頭で考え理解する癖が過度についてしまっていて、実は直感で得た印象の方が後から考えると正しかったという事がよくある。その時は直感で何か感じたことに気がつかないのだ。
頭ではなく心の力をもっと使うことの重要性。詩人サミュエル・テイラー・コールリッジの「心から来るものは、心に届く」という言葉はそれを端的に表現した忘れがたいものだった。理論が精巧に作られれば人の心に届くというものではない。
もう一つ忘れがたいのは、「セキュアベース(安全地帯)」というもので、それは「母親は無条件に自分を愛してくれる」という幼いときの経験によるという。それが「根拠のない自信」につながり、新しいことにチャレンジする力になるそうだ。子供のときに、安全地帯が十分与えられてこなかった人は、相手に無理な要求をしたり、相手を信じられなくなってしまう。幼い時の母親との関係は、後の人生を生涯左右するほど重要で、人間の性格の本質に関わっているのだと痛感する内容だった。

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「行動学入門」三島由紀夫

行動学入門 (文春文庫)

行動といえばすぐさま緊迫した瞬間の連続を想像してしまうが実際はもっと淡々としたものだ。「行動と待機」という章にあるように、「危険な航海も、長い長い退屈な船旅の単調な日々の連続の上に、突然嵐に遭遇するときに、初めて危険になる。」
行動は目的とともにある。しかし、目的を達成するまで行動は忍耐と単調の連続である。だから行動すると決めたなら、それは一瞬の達成の歓喜まで待機し続けると覚悟を決めたということだ。
「いわば待機は一点の凝縮へ向かって、時間を煮詰めていくようなものである。」三島由紀夫の的確な観察と描写が行動の本質を浮き彫りにする。これを読むと三島由紀夫が体を鍛えていたことも合点がいく。彼にとってそれは、理想の死のための待機だった。
「われわれは、歴史にあらわれた行動家の一つの典型として、那須与一のような人を持っている。あの扇の的を射た一瞬に、那須与一は歴史の波の中からさっと姿をあらわし、キリキリと弓をひきしぼって、扇の的の中心に矢を当てると、たちまちその姿は再び歴史の波間に没して、二度とわれらの目に触れることはない。彼が扇の的を射た一瞬は、長い人生のうちのほんの一瞬であったが、彼の人生はすべてそこに集約されて、そこで消えていったように思われる。もちろん、それには長い訓練の持続があり、忍耐があり、待機があった。それがなければ、那須与一は、われわれを等しなみに押し流す歴史の波の中から、その頭を突き出して、千年後までも人々の目にとままるような存在にはなり得なかったのである。」
考えると目的とは瞬間的なものだ。それを完徹した一瞬こそが最も輝かしい。そのためにじっと身を潜めて待機する決意。まずはそこから行動が始まるに違いない。

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「心を強くする指導者の言葉」

心を強くする指導者の言葉

美術の世界に身を置くようになって最も落胆した事は、想像していた以上に年功序列で学歴が重要視されることだ。美術とは、価値や評価を見出すのは難しいものかもしれない。それでも経歴が作品より先に見られ、入選した入賞したの一言で手の平を返したように評価が変わることも少なくなく腑に落ちない。

出光の創業者である出光佐三は「卒業証書を捨てよ」と言っていたとこの本にある。経営者や一流企業に勤めるビジネスマンよりも先に美術関係者が嚙みしめるべき言葉であると私は思う。実際、海外に行って日本の大学の名前を言っても知っている人などほとんどいない。

「偶然は、準備できてない人を助けない」と言ったのはパスツールだそうだ。この言葉は芸術の表現に於いてもとても重みのある言葉だと思う。ジョン・ケージやゲルハルト・リヒターの本を読むと彼らが制作の過程で偶然を大事にしていることがよく解る。パスツールのこの言葉から考えると、彼等は偶然が起こりえる準備を精密に精巧に行っているとも言えるだろう。

「負けたとはっきり言える人は強くなる。これをいいかげんにしている人は上には行けない」はプロ棋士の谷川浩司の言葉。美術の場合、勝ち負けで作品が評価されると言うよりは良い悪いで見られものだろう。しかし、自分よりもいい作品を作っている人は実は身近に沢山いてそれを素直に認めることはその作家の器量だ。他人を評価できる人はその作家のいい部分を見ている。

この本を読んで、改めて芸術という自由な世界に身を置く自分が狭くて古臭い価値観から抜け出していかなければいけないと感じだ。経営者や科学者の言葉も自分の身に置き換えて読むとたくさんの事が見えてくる。

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マーチン・スコセッシのブルース■タジ・マハール

マーティン・スコセッシのブルース

ハリウッドの映画監督の中で音楽と関わりが深い人といえばマーチン・スコセッシの名前が挙がるだろう。2003年に公開された「The Blues」という映画を記念して、彼が選曲したブルースの名曲をマーチン・スコセッシ・プレゼンツとしてシリーズ化したのがこのCDだ。他にもエリック・クラプトンやB.Bキング、ロバート・ジョンソン等も発売されている。マーチン・スコセッシは選曲がいい。

タジ・マハールの初期の名曲集めたこのCDを手に取ったのは、彼がオールマン・ブラザーズ・バンドの演奏で知られるステイツボロ・ブルースに影響を与えたと聞いたからだ。デュアン・オールマンのスライドギターがとても印象的なステイツボロ・ブルース。聴くと一目瞭然で、デュアン・オールマンはオリジナルであるブラインド・ウィリー・マクテルよりもタジ・マハールの演奏を参考にした。

演奏にはライ・クーダー、ジェシ・エド・デイビスもクレジットされている。タジ・マハールは比較的、白人のミュージシャンとも仲が良かったようだ。

タジマハール

インターネットでタジ・マハールを検索するとフルアコやドブロを持った写真が沢山でてくる。カリビアンやジャズを意識しながらブルースと他の民族音楽を合わせたようなサウンドが彼の特徴だ。曲のクレジットを読むと、ハーモニカ、マンドリン、フルート、バンジョー、スチール・ギター等も記載があるし幅広くなんでも演奏できる器用な人だ。ステイツボロ・ブルースだけでなくダスト・マイ・ブルームもスライドギターがかっこいい。3曲目のコリーナにはピアノでアル・クーパーも参加している。

本格的なブルースでロックな気分になりたい時、是非このアルバムを勧める。

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「リリ・フランキーの人生相談」

リリー・フランキーの人生相談

この本を出版したのが「東京タワー」の後だというのがくだらない。ツイッターでリリ・フランキーをフォローしているだが、更新がくだらない。でも、正しい下ネタの使い方は覚える事ができる。それ以外に何を思えばいいのかわからない。

てめぇら乱れすぎだろ。俺も混ぜてくれよ。

学生の頃にもどりてぇよ。

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Tha Blue Herb 「STILLING, STILL DREAMING」

STILLING STILL DREAMING

Tha Blue Herbのファースト・アルバムが発売されたのは1998年で今から17年前。このアルバムを聞いた時は高校生だった。友人に勧められて買ったこのアルバム、当時一番よく聴いていたのは「SHOCK SHINEの乱」だったのをよく覚えている。ショクシャインとは江戸時代のアイヌ人首長の事でTha Blue Herbのリリックによく登場する「北からいただく」という台詞のようにこのタイトルは、北海道からシーンを変えてやるという革命の意気込みを現したメッセージだろう。アルバム全体に流れるどこか暗い洞窟の中にいるような雰囲気は当時異様に輝いて感じられた。

ブルーハーブ2

当時は曲やトラックにばかり興味があったが最近は彼等のリリックを読むようになった。そうしてもう一度聴いてみると、「弧憤」の語りに心を掴まれる。この曲のリリックは歌詞カードに載っていないから、彼等にとっては曲という認識ではないのかもしれない。しかし、当時のTha Blue Herbの心の内を最も正直にダイレクトに表現しているのはこの曲だろう。そして、1998年にこの曲で彼等が主張した事は実際に達成された。口だけではなく彼等は宣言したことを実現した。それがTha Blue Herbの揺るぎない実力の証拠だ。

このアルバムを買ってから数年後、20歳を過ぎた頃、何気なくCDを手にとってケースを開くと、そこに吉本隆明の「戦いの手記」という詩の引用がデザインされているのをみた。その瞬間、背筋にゾクゾクと鳥肌がたったのが忘れられない。その時から僕は彼等の音楽と生き方を一つの思想としても信用するようになった。その詩の引用の後に続く、彼等の言葉の一部を今日は書き留めたい。

「言葉と音は一度も甘やかされずに痛みの美学は完成した 状況は黙殺から完服へ 専門家を自称する奴は一番うしろへ下がれ」

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パーシー・スレッジ 「パーシー・スレッジ ベスト」 ~バラードの名曲

ベスト・オブ・パーシー・スレッジ~男が女を愛する時

今年、2015年4月に亡くなったパーシー・スレッジのベストアルバム。代表曲のWhen A Man Loves A Womenを含め他にもソウルの名曲のカバーがたくさん収められている。When A Man Loves A WomenのギターはDフラットなので驚いた。3曲目のPut A Little Lovin’ On MeもギターのキーもDフラットだ。

パーシースレッジ

英文の解説を読んでいるとパーシー・スレッジのかっこいい言葉がのっていた。”Most artists judge their success by how much noise and excitement they create but I prefer my audience to be quiet.” (ほとんどのアーティストは、どのくらい興奮と大歓声をつくったかで成功を評価するが、私は、観客が静かになることを好む。)

確かにWhen A Man Loves A Womenを聴いていると静かに聞き耳たててしまう。聴き終わるといい曲だったなぁとロマンティックな気分に浸ってしまう。こんなに雰囲気のあるバラードもなかなか無い。あの高い声が気持ちいい。

他にもジェームズ・カーのThe Dark End of Streetやオーティス・レディングのTry A Little Tenderness も収録されている。

もちろんパーシー・スレッジの歌声もすきだけれど、その後ろで伴奏するバンドの音を聴くのも楽しい。パーシー・スレッジが歌いやすいように気持ちよく歌うことができるような音量で、リズムで演奏できるバックバンドはカッコいい。黒人独特のあのウキウキするようなリズムと音色は邦楽では聞けない。レコードで聴けばさらにお洒落だ。

車の中で気がつくとWhen A Man Loves A Womenを口ずさんでいたことが今までに何度あったか。気持ちよく耳に残る歌声とはこういう声に違いない。

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吉本隆明 糸井重里 「悪人正機」

悪人正機 (新潮文庫)

糸井重里が聞き手となって、吉本隆明が様々な事柄について意見を述べる。

「生きる」ってなんだ?、「友だち」ってなんだ?という風にそれぞれの章が始まっていく。実際、糸井重里の文章はとても少ない。対談という感じでもなく吉本隆明の語りを文字にした文章がほとんどだ。タイトルの悪人正機とは、阿弥陀仏の本願は悪人を救うためのものであり、悪人こそが救済の対象だという意味で、親鸞の思想の中で最も大丈夫な考え方だとされる。この考え方自体がそもそも、一般的には逆説的で、吉本隆明は親鸞の思想をとても尊敬していたから、友だちとは何か、仕事とは何かを語るときも逆説的に聞こえる箇所が多い。しかし、吉本隆明の語りが逆説的でありながらも現実的で安心を与えてくれるのは、彼が物事の本質を得ているからだ。吉本隆明の暖かさは、親鸞のように自分を決して特別なものとせずどんなものにも近くあるような姿勢と態度からきていると思う。

働くのがいいなんて嘘だよとかそんなに正義って素晴らしいかという言い方は吉本隆明の特徴だと思うしこの本の面白さだと思う。

個人的には、詩について書かれている箇所がすきだ。吉増剛造、谷川俊太郎、田村隆一の三人がプロの詩人だと断定しているところは興味深かった。

もうひとつ気なった箇所は、どんな天才も10年続けなきゃ一丁前にならないというところ。10年やっていれば素質とか才能とか関係なく必ず一丁前になれる。素質や才能が問題になるのは一丁前になってからなんだという考え方は新鮮だった。

本の後半は病院について書かれていて、ちょうどこの本を書いていたころ手術の為に入院していたそうだ。老いや病院についてこんなにも正直に語る思想家がいるのかと感心して尽きない。

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